2011年5月29日日曜日

岩村康弘博士のICCF-16報告書~韓国は国家プロジェクトを始動か

常温核融合は本当だった! その14」で知りました。三菱重工の岩村博士が執筆された第16回凝集系核科学国際会議(ICCF-16)の報告書がダウンロードできるようになっています。日本語のレポートは数少ないのでとても助かります。ただ、このレポートは、Japan CF-research Societyの公式ページからはリンクされていないようです(PDFファイルの置かれている場所はJCFRSの公式ページの中ですが)。「常温核融合は本当だった! その14」の内容から岩村博士の執筆だと分かりましたが、レポートの中には著者名が書かれていません。

http://www.jcfrs.org/file/iccf16-report.pdf


以下、面白かった部分を引用させていただきます。
ロッシ氏の装置によって俄然ニッケル・水素系が注目されていますが、Dr. Celaniはニッケル・水素を使った電界方式での発熱を検証しているようです。
Dr. Celaniたちのグループは最近Niナノコートワイヤーでの過剰熱と元素変換実験を行っている。彼らによると、900℃くらいの高温でNiワイヤーに水素雰囲気中で電界をかけると最大で1800W/gの発熱が観測されたとのことである。従来行っていた、Pd-D系では500℃で最大400W/g程度の発熱であったため、実用上はNi-Hの方が有利ではないかとの結論である。ただし、Ni系は水素を吸蔵させるのがPdに比べ難しいとのことで、この点が注意すべき点である。また、Pdの同位体比に変化が生じており、元素組成にも変化があったとのこと。
また、岩村博士ご自身は元素変換現象を追究されているのですが、この実験のトヨタ中央研究所での追試結果についての報告があったようです。
IwamuraはCRESTの結果、計算科学の結果、W変換試験の結果を中心に発表を行った。また、トヨタ中央研究所が当社の再現実験に成功しており、その結果についてもレポートした。
Csを添加したPd多層膜に重水素ガスを透過させると元素変換が起きる新元素変換現象は、これまでにCsからPr、SrからMo、BaからSmへの変換などが観測されており、トヨタ中研などが再現実験に成功している
韓国が熱心に常温核融合研究に取り組み始めたことは、このレポートの中でも触れられています。韓国は常温核融合の国家プロジェクトを起こすようです。日本も早く国家予算を組んで、集中的な研究開発投資を行って欲しいと願っています。
今回特徴的であったのは、韓国から6名の参加があったことである。KAIST(Korea Advanced Institute of Science and Technology)の朴教授(Prof. Sunwon Park)を中心としたメンバーが会議に参加し、熱心に質問など情報収集を行っていた。韓国は凝集系核反応分野の国家プロジェクトを実施する予定だそうで、今後の展開を注視していきたい。
これまで常に過剰熱関連の先進的結果をだしていたイスラエルのEnergetics社の関係者はアメリカミズーリ州に移ったとのことで今回は発表は行っていなかった。EnergeticsトップのDr. Lesinの話ではミズーリ大学近郊で現在実験装置の立ち上げを行っているとのことである。前回のローマ、前々回のワシントンに比べるとベンチャービジネスの関係者は少なかったがST Micro Electronics社、フィアット社などは継続して研究を行っているとのことであり、米国のベンチャー関係者は数名参加していた
次回のICCF17は韓国で開催される見込みであり、地理的にも日本から近いことから日本の多くの研究者の参加を期待したいと思う。
以上

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